< 2009.5.3 追記 >
テレビの報道で「簡易検査で新型インフルエンザの疑いがあるとの検査結果が出た」などと伝えられていますが、この言い方は無用に恐怖心を与えるものだと思います。
適切な言い方は、「簡易検査でA型インフルエンザの反応が出ました。今後、遺伝子検査によって新型インフルエンザなのか検査されますが、季節性インフルエンザ(Aソ連型、A香港型)である可能性もかなりあります。」が、より正確に伝える説明だと思います。
< 2009.5.1 06:05 掲載 >
今、敢えて書きますが、新型の豚インフルエンザについて騒ぎ過ぎではないでしょうか。
もちろん、注意や予防対策は必要ですが、それらは毎年流行する季節性のインフルエンザと同等レベルを要求される状態だと思われます。
今回のインフルエンザは、これまで心配されていた強毒性の鳥インフルエンザのようなものではなく、現時点では毎年流行する『A香港型』や『Aソ連型』と同程度の危険性ではないのでしょうか。
弱毒性の新型インフル 政府計画の想定外 - 毎日新聞 クローズアップ 2009年4月30日 -
世界保健機関(WHO)が大流行に移行する可能性を重視して警戒レベルを「フェーズ4」に引き上げたことを受け、日本政府も行動計画を始動させた。だが計画は強毒性の鳥インフルエンザが新型に変異して人から人への感染にいたる事態を想定したものだ。対策の見直しは必要なのだろうか。
東北大の賀来満夫教授(感染制御学)は「強毒性のウイルスを想定した対応だと、毒性が弱かった場合、社会不安をあおりかねない。最悪の事態に備えるのは間違いではないが、現実に即した柔軟な対応も必要だ」と話す。
当初、舛添要一厚生労働相は「季節性インフルエンザワクチンの製造を一時停止してでも早急に作る態勢を組みたい」と述べた。だが季節性インフルエンザでも国内で毎年1万人前後の関連死亡例があるため、厚労省の担当者は「季節性のワクチンも作る」との説明に追われた。
一方で押谷教授は「致死率が一つの目安になるだろうが、現段階でははっきりせず、もし0・2%だとしても1000万人規模の流行になれば2万人が亡くなる。決して少ない数字ではない」と楽観を戒める。 |
記事にもあるように、インフルエンザによる死亡例は日本だけでも毎年1万人前後あり、元々注意すべき恐ろしい伝染病なのです。(特に体力の弱っている人にとって)
今回、これだけ騒ぐのであれば毎年インフルエンザが流行する1~2月頃にも同じように厳重な注意喚起を行うべきです。
それに、タミフル耐性インフルエンザ の方がより深刻かもしれません。
下のグラフは過去10年間のインフルエンザ流行レベルのグラフです。
国立感染症研究所 感染症情報センター より転載
また、パンデミック警戒レベルが「フェーズ5」に引き上げられましたが、これは症状の重症度合いではなく、流行の度合いです。人から人への感染がかなりの数に上る状態であれば「フェーズ5」とされますので、季節性のインフルエンザもこの点だけをとれば毎年「フェーズ5」ないし「フェーズ6」に相当すると考えてもよいでしょう。
WHOが豚インフル警戒水準引き上げ、パンデミックリスクを警告 - ロイター 2009年 04月 30日 13:16 -
世界保健機関(WHO)は29日、豚インフルエンザ(H1N1型)の世界的大流行(パンデミック)のリスクが差し迫っているとし、警戒水準を「フェーズ5」に引き上げた。 |
さて、今回の豚インフルエンザA/H1N1について、敢えて”楽観的”な見立てをすると
・遺伝子解析の結果、病原性は低いとされている。
・メキシコでの感染者数は公表されている数よりも多いと考えられる。そのため、実際の死亡率は低いのではないか。
・アメリカでの死亡例はメキシコからの旅行者(男児)だった。しかも男児には免疫的に問題があったとの報道がある。日経メディカル リポートより
・今後、北半球は夏になっていくので、流行は自然と収束すると考えられる。
・豚肉から感染することは、通常はないでしょう。 |
もちろん、気になる点は当然あります。
・現状ではワクチンがないので、季節性インフルエンザよりも流行が大規模になることが考えられる。
・南半球は冬になるため、流行が継続するかもしれない。
・もしかすると、強毒化することがあるかも。 (しかし、この心配はすべてのインフルエンザにあるのではないでしょうか。)
・今年末から来年初めにかけて、再度流行することが考えられる。 |
コメントを求められる専門家は、立場上「通常のインフルエンザと同じですよ」なんてお気楽な発言はしにくいでしょう。深刻な流行にはならないとの保証は無いのですから。
また、厚生行政で何度も失敗をしている政府は、選挙が近いこともあって、今回は最大限の対策をとがんばっているのでしょう。
いずれにしても、個々の関係者が少しずつ安全サイドに偏った行動を取ることで、全体として行き過ぎになり、結果的に社会全体の不利益に至るようなことにはならなければよいのですが・・・
誰も間違ってはいないのに、結果として悪い方向に進むことは残念ながらあると思います。
日本社会が「サイトカインストーム」に陥らないことを望むばかりです。
今回の豚インフルエンザに関する情報や考え方について、下記のサイトはとても有用でおすすめです。
鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集
< 2009.5.1 追記 >
簡易検査というのは、A型かB型かを判断するだけです。また、インフルエンザのほとんどはA型ですので、今、インフルエンザに感染すると、Aソ連型でもA香港型でもすべて、「豚インフルエンザの疑いあり」と判断されてしまいます。
今回の横浜市の高校生が当にこの例でした。
横浜の高校生、新型インフルではない 感染研が発表 - 朝日新聞 2009年5月1日18時17分 -
厚生労働省によると、感染研がウイルス遺伝子検査(PCR法)で男子高校生ののどなどのぬぐい液で調べた結果、以前からあるヒトH1型の季節性インフルエンザ(Aソ連型)に感染していることが確認された。豚H1型は陰性だった |
こうなってしまっては、もうどうしようもありません。
インフルエンザに罹った人は、ほとんどすべて隔離される可能性があるという状況のようです。
ところで、豚インフルエンザと確定された場合に受けられる治療と、通常のインフルエンザに感染した場合の治療は多分おなじです。
・タミフルの処方
・解熱剤、鎮咳剤、等の対症療法
・もし肺炎等を併発しているのであれば抗生物質
まあ、こんなところではないでしょうか。
そして、経過も同じようにたどって、2~3日の発熱(高熱の場合もあり)と咳、全身の倦怠感、などを経て治癒というのがほとんどでしょう。
ただし、免疫力が低下しているお年よりや持病のある方は重症化や生命の危険に至ることも考えられます。しかし、これは一般的なインフルエンザも同じです。
つまり、ハイリスクな人達にとっては、通常の季節性インフルエンザでも死に至る可能性のある病気であり、今回の豚インフルエンザが特別危険なわけではなく、どのインフルエンザでも危険なのです。
但し、強毒性インフルエンザが発生した場合は、季節性インフルエンザや今回の豚インフルエンザを数十倍程度越える危険性があるので、こちらは大慌てする必要があります。
< 2009.5.2 追記 >
昨日19:30からNHKで放送されていた「緊急報告 新型インフルエンザ」では、アメリカからレポートしている記者が「感染地域が日々拡大している状況にもかかわらず、概ね冷静に対応しているという印象です。」と発言をしていました。
『何しているんだ。もっと、大騒ぎしろよ。』と言いたかったとも取れるのですが、そうだとするとつい記者の本音が漏れてしまったのでしょうか。
さて、専門家の中には現在の対応が厳しすぎるとの意見もあるようです。
新型インフル:専門家諮問委が行動計画で意見 - 毎日新聞 2009年5月2日 1時13分 -
政府は1日、新型インフルエンザ対策本部の「専門家諮問委員会」(委員長・尾身茂自治医大教授)の初会合を開いた。「新型インフルエンザ対策行動計画」と「ガイドライン」は、強い毒性を持つ鳥インフルエンザ由来の新型インフルエンザを想定していることから、「都道府県での対応が厳し過ぎることもある」「都道府県に裁量を与えて、実情に応じた運用にすべきだ」などの意見が出た。 |
また、畜産業界への風評被害を防止するため、豚インフルエンザという表現をやめるようです。
新型インフル:WHOが「豚インフルエンザ」の表現やめる - 毎日新聞 2009年5月1日 13時15分 -
世界保健機関(WHO)は4月30日、新型インフルエンザについて、「豚インフルエンザ」との表現をやめ、ウイルスの型を示す「インフルエンザA(H1N1)」の呼称を使用すると表明した。畜産業界や国連食糧農業機関(FAO)から寄せられた風評被害への懸念を考慮したという。
WHOのトンプソン報道官は、人から人への感染力を持つようになった新型インフルエンザについて「他の人インフルエンザと同じようなものになってきた」と言明した。 |
後半部分は、つまり、季節性インフルエンザの種類が一つ増えたということでしょうか。
言ってみれば、『Aメキシコ型』?

新型インフル:ウイルスは弱毒性 田代WHO委員 - 毎日新聞 2009年4月29日 21時20分 - より
1900年から1965年までのアメリカでのインフルエンザでの死亡率
(人口10万人当たりの死者数の推移) [茶色の線]
< 2009.5.2 追記2 >
米国CDC(疾病対策センター)の専門家が今回の新型インフルエンザには強病原性はないと発表しました。また、米国の公衆衛生担当者から季節性インフルエンザと何ら変わらないとの指摘がありました。
鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集 より
A(H1N1)インフルの病原性は低い、と米国CDCが発表 米国CDCの専門家がA(H1N1)ウイルスの遺伝子には、スペインインフルエンザウイルスやH5N1ウイルスに存在する強病原性を表す遺伝子が存在していないと発表。さらに米国内の公衆衛生担当者等から、当インフルエンザは季節性インフルエンザと何ら変わらない臨床像であることが指摘。 |
・病原性は通常の季節性インフルエンザと同程度からやや低い:軽症~中等症。
・感染率は25%前後
・遺伝子の中にスペインインフルエンザとH5N1鳥インフルエンザの毒性に関係していた遺伝子は存在していない。 |
WHOがパンデミック前夜としているときに「季節性インフルエンザと変わらない」と発表することは、それだけの確証がなければできないことです。誰かに聞いた情報を元に「大変だ。大変だ。オオカミが来るぞ。」と騒いでいる人たちにはとてもできることではありません。
もし日本の近隣諸国で今回のような新型インフルエンザが発生した場合、日本はCDCのような調査・研究を迅速に行える体制があるのでしょうか。
< 関連情報 >
ブタインフルエンザに関するQ&A -国立感染症研究所-
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今インフルエンザに罹ると、ほとんど『豚インフルの疑いあり』と判断されるのかな
もしかすると新型インフルエンザは既に日本に・・・
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