中国産ペットフード原料にプラスチック原料が故意に混入された理由
米ペットフード禍 中国ずさん管理 食品への影響懸念 (産経新聞 2007/05/05 01:25)
今年3月、米国内で販売された中国産の小麦粉を原料とするペットフードを食べたネコや犬が相次いで死ぬ騒ぎがあったが、今度はそのペットフードから有機化合物が検出され、鶏や豚の飼料にまで流用されていたことがわかり、食品への影響も懸念され始めた。このため、米食品医薬品局(FDA)は中国へ調査官を派遣した。
FDAの調査で、合成樹脂の材料となる有機化合物メラミンが大量に混入していたことがわかり、FDAは4月に入って、小麦グルテンなどの中国からの輸入を禁止した。
ペットフードの一部はカリフォルニアやニューヨークなど7州の養豚場に飼料として運び込まれ、少なくとも約6000頭に食べさせていたことが4月下旬に判明。1日には、インディアナ州の養鶏場で同じペットフードを与えられていた約300万羽の鶏が食肉用として市場に出されていたことも分かった。
米紙ワシントン・ポストによると、メラミンはタンパク質の水準を高く見せかける効果があり、飼料価格を左右するタンパク質含有量を水増しするため、家禽の一大産地の山東省では、メラミンを混ぜた飼料が広く流通しているという。
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中国から輸入したペットフード用の小麦グルテン(小麦から作ったタンパク質、小麦タンパク)にプラスチックの原料である「メラミン」が故意に混入されてあり、これを食べた猫や犬が多数死ぬという事件がアメリカで発生し、ペットフードメーカーは商品を回収するという事態になっています。
<疑問1:なぜ中国の業者は小麦グルテンに「メラミン」を混入したのか>
それは、メラミンを混入することで小麦グルテンに含まれるタンパク質量を見かけだけ水増ししてペットフードメーカーに高価格で売りつけられるからです。
今やペットフードも「高タンパク・低脂肪」が商品の重要なコンセプトになっているため、ペットフードメーカーはいかに高タンパクの原料を低価格で仕入れるかが事業の鍵となっていると思われますが、そこを中国の業者に狙われたのが今回の問題の原因のようです。
<疑問2:なぜ「メラミン」を混入するとタンパク質量を水増しできるのか>
小麦などの食品のタンパク質量を測定する場合は、食品を硫酸や水酸化ナトリウム等を用いて分解して発生するアンモニアの量から計算する方法が用いられています。(ケルダール法)
タンパク質はアミノ酸が重合してできていて、アミノ酸には必ず窒素(N)が含まれています。それを上記のような化学処理をしてアンモニア(NH3)にすることで、比較的簡易に定量することができるという手法です。従って、アンモニアが多く発生した食品ほどタンパク質が多いと言うことになります。
一方、メラミン樹脂等の原料になる「メラミン(C3H6N6)」にも窒素が多くが含まれており
、ケルダール法による測定ではタンパク質と同様にアンモニアが発生するので、メラミンもタンパク質となってしまうのです。
更に、メラミンは白色の粉末なので食品原料に混合しやすいという特徴もあります。
中国の業者はこれらの特性を悪用し、メラミンを混入することで食品のタンパク質量をごまかしていたのです。
<疑問3:ペットの死はメラミンが原因か>
メラミンは比較的毒性が少ない物質と考えられているようで、許容濃度も設定されていません。現在、何が原因なのか検討が行われているのですが、米国獣医師会によると、メラミンと一緒に検出されたシアヌル酸(C3H3N3O3)がペットの腎臓でメラミンと反応して結晶化し、腎不全を発症させたのではないかと推測しているようです。
いずれにしても、工業用に製造された栄養価の全くない「メラミン」を混入して、さも高タンパクであるように見せかけて、それを家畜やペットの飼料として販売するという手法が十年以上も前から常態化しているということには、その発想やモラルの程度に恐ろしさを感じてしまいます。
参考Web:
メラミン Wikipedia
国際化学物質安全性カード メラミン
国際化学物質安全性カード シアヌル酸
米国獣医師会 プレスリリース メラミンとシアヌル酸の相互作用について 2007/5/1
ペットフードに含まれるメラミンとシアヌル酸の化学反応(07/05/02) 犬ニュース01(ゼロワン)
ケルダール法による粗タンパク質の定量
食品中の粗タンパク質の定量 (研修支援情報 高等学校専門教科資料)
窒素の定量
食品-ケルダール法による窒素測定の一般ガイドライン 農林水産消費安全技術センター
でぶ猫相撲部屋 (メラミン混入ペットフードについて詳しく書かれたブログ) メラミン、中国では大変な需要
中国産植物性タンパクの取扱いについて 厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室長 食安輸発第0502001号 平成19年5月2日
中国産の米及び小麦を原料とするタンパク(グルテンを含む。)について輸入の都度、貨物を保留し検査すること。
検査によりメラミンを検出した場合にあっては、製造工程におけるメラミンの使用の有無を確認するとともに、企画情報課検疫所業務管理室を通じて当室まで連絡すること。
中国産グルテンの取扱いについて 厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室 事務連絡 平成19年4月19日
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