« バセドウ病について(30) 更に悪化。 TRAbもFT4も上昇中・・・ | トップページ | バセドウ病について(32) TSHが正常でFT4が高い場合 »

バセドウ病について(31) [メモ] バセドウ病の原因物質 TRAb が生産される原因について

以下は、まとまりのない『メモ』です。

信州大発”学び”のビッグバンプロジェクト e-Learning教材 平成16年度医学部 加齢病態学

免疫の病気:加齢と自己免疫疾患
 1.自己免疫性甲状腺疾患:1)バセドウ病

 自己抗体がどこでできるかは大体見当がついています。免疫細胞のうち、Bリンパ球(B cell)や形質細胞(plasma cell)の一部です。これらは抗体産生細胞(antibody producing cell)といわれています。ここに二つの問題が提起されます。一つは何故TSH受容体に対する抗体が作られるようになったのか。すなわち、「抗体が関与する相手(これを抗原(antigen)(または自己抗原といいます))として何故TSH受容体が選ばれたのか」、という問題です。もう一つは「抗体産生細胞にどのようにして、自己抗体を作らせる情報が移入されたのか」、という問題です。

 リンパ球にはB cellの他にT細胞(T cell) という一群の細胞があります。抗体産生の情報をB cellに伝えるのがT細胞です。この細胞は表面に存在するマーカーによりCD4+T細胞といわれます。CD4+T細胞はマクロファージなどに発現される自己抗原物質を認識します。この物質をmajor histocompatibility complex(MHC)といいます。TSH受容体構造はマクロファージで抗原として認識され、記憶されます。マクロファージの抗原提示には複雑な機構が存在します。
 

 

科学研究費補助金 平成14年度研究報告 京都大学医学部・探索医療センター 助教授 赤水尚史 (研究課題番号:14370326)

バセドウ病発症抗TSH受容体抗体遺伝子導入マウスによる成因解明と応用研究

 Tg マウスの腹腔内B 細胞を検討した。腹腔内B 細胞は、CD5+B (Ly-1 B, B-1) 細胞であり、従来から自己抗体産生や自己免疫疾患との関連が深いことが示されてきている。このTSH 受容体抗体Tg においても、non-Tg マウスに比し、全リンパ球数におけるB 細胞数の割合の末梢血 (PB) 中での著明な減少、腹腔内での著明な増加を認めた。さらに、腹腔内ではnon-Tgマウスに較べ、Tg マウスでB 細胞におけるB1 細胞の著明な増加を認めた。このことは、免疫監視機構から逃れた腹腔内のB1 細胞がバセドウ病発症と関連のあることが示唆された。このような自己寛容に関する機構が、ヒト抗体遺伝子に対して、しかも甲状腺のような臓器特異的抗原に対してどのように作動し、自己免疫疾患の発症とどのように関わるのか、極めて興味深いところである。

(Tgマウス=抗TSH 受容体抗体遺伝子導入トランスジェニツクマウス)
 

同一著者の類似の論文: モデル動物作成によるバセドウ病発症機序の解明 日本臨床免疫学会会誌 Vol.26(2003) , No.6 赤水尚史 京都大学医学部付属病院探索医療センター 

 TRAbの生産には自己抗体の生産を抑制する免疫監視機構から逃れたB細胞が関与しているようです。

 

日本臨床免疫学会会誌 Vol. 33 (2010), No.2 中林 一彦, 白澤 専二 福岡大学医学部, 国立成育医療センター研究所

自己免疫性甲状腺疾患ゲノム解析の現状と転写関連分子ZFAT

 臓器特異的自己免疫疾患では患者に占める女性の割合が高く、AITD(自己免疫性甲状腺疾患)罹患率の男女比は米国での調査では5:1(女性:男性)となっている。この男女差は性ホルモンの影響と遺伝的要因が複雑に絡んだ結果生じていると考えられる。またこれまでに、多数の非遺伝要因がAITD発症の引き金として疫学研究の対象となっており、ヨード・セレン摂取量、性ホルモン、経産回数、fetal microchimerism、ストレス、アレルギー、喫煙、甲状腺への放射線障害、ウイルス・細菌感染、衛生環境、などが挙げられる。・・・

 GD(バセドウ病,Graves'disease)関連SNP(一塩基多型)は全てMHC(ヒト主要組織適合遺伝子複合体)領域に位置していた・・・ このように、二つのゲノムワイド関連研究において、MHC領域が最も主要なGD感受性ゲノム領域であることが再確認された。
 

 

日本臨床免疫学会会誌 Vol. 33 (2010), No.6 佐村 修 国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター産婦人科

Fetal microchimerismと自己免疫疾患

 Fetal microchimerism (FMc) とは遺伝的にまったく異なる胎児細胞が、母体に移行して生着し存続し続けることであるが、正常妊娠でも起こることが、広く認識されるようになってきている。

 自己免疫性甲状腺疾患(橋本病やバセドー病)においても、胎児細胞や胎児DNAが罹患女性の血液や組織から多くみつかる。
 FMcは甲状腺組織中には見つかっており、すべての検討ではないが、自己免疫性甲状腺疾患群で対照群と比較しFMcが多数みつかっている。橋本甲状腺炎と甲状腺機能亢進症の両者における検討では、末梢血単核球中において患者群においてより高濃度のFMcを示した。

 

バセドウ病の発病には、遺伝子(MHC領域)の一塩基多型が関連していると考えられているようですが、出産を経験した女性の場合は、Fetal microchimerism が引き金になっているのかもしれません。

« バセドウ病について(30) 更に悪化。 TRAbもFT4も上昇中・・・ | トップページ | バセドウ病について(32) TSHが正常でFT4が高い場合 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« バセドウ病について(30) 更に悪化。 TRAbもFT4も上昇中・・・ | トップページ | バセドウ病について(32) TSHが正常でFT4が高い場合 »