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バセドウ病について(20) 抗甲状腺薬の減量法

先日、バセドウ病について(19) 花粉症との関係は・・・ という記事を書いたときに、引用した論文を書かれた網野信行先生の本がないか調べてみたら、以下のような本があったので購入してみました。

甲状腺疾患の疾病管理テキスト 甲状腺疾患の疾病管理テキスト

著者:宮内 昭
販売元:メディカルレビュー社
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網野信行先生(役職名は「医療法人神甲会 隈病院 学術顧問」)は編集者となっています。

この本では、バセドウ病以外の甲状腺疾患についても幅広く記載されていて、バセドウ病については診断と疾病管理で4ページ、術前・術後の疾病管理で3ページくらい書かれています。

さて、その疾病管理の中で、『抗甲状腺薬による治療』という項目があり、メルカゾールの使い方について、以下のような記載がありました。

バセドウ病の診断と疾病管理  医療法人神甲会 隈病院内科部長 窪田純久

抗甲状腺薬による治療 (25ページ)

1.治療開始時の注意
 ・・・ 妊娠を計画している場合を除いて、MMI(メルカゾール)を15mg/日(3錠/日)で開始することを推奨する。 これまでは30mg/日で開始することが標準的であったが、副作用の頻度が用量依存的に増加するため、よほど甲状腺が大きい場合や甲状腺ホルモン値が測定限度を超えている場合以外は、15mgの方が安全である。

2.抗甲状腺薬の減量法
 甲状腺機能を速やかに正常化させ、かつ甲状腺ホルモン値が下がりすぎないようにコントロールすることは、経験を積んだ専門医でも容易ではない場合がある。
 治療初期には甲状腺ホルモン値を1ヵ月ごとに検査し、FT4 と FT3 が正常範囲の上限に入ったら、MMIを10mg(2錠)に減量する。
 さらに FT4 と FT3 が正常範囲内の中間にきたら、5mg(1錠)へ減量するという方法を提案したい。
 甲状腺が大きい場合は抗甲状腺薬の減量が遅れ、小さい場合は減量が早いことに留意する。
 迷う場合には12.5mg/日(1日2錠と1日3錠を交互に内服)、7.5mg/日(1日1錠と2錠を交互に内服)という手段を用いる。
 初期においてはTSHが抑制されているため、TSH値を減量の参考にしてはならない。TSHはFT4,FT3の正常化から2~3ヵ月遅れて正常化することが多いからである。
 また、検査結果は必ず早期に確認し、減量するかどうかを判断する。たとえば、次回1ヵ月後に来院した時に結果をみて判断するようなことは避けるべきである。ホルモン値の変動が大きくなりすぎるからである。図3に実際の減量例を示した。症例1は比較的早期に減量が可能であった例で、症例2は時間を要した例である。

斜体字のところと下線は私が追加しました。)
 

図3は症例1と症例2での、FT4、TSHの変化と、メルカゾールの減量経過を示したものが記載されていましたが、分かり易いように、これをグラフにすると、以下のようになります。

グラフ中の点線はFT4の正常範囲を示しています。(0.7~1.6ng/dL)

症例1 比較的早期に減量が可能であった例
Photo

症例2 減量に時間を要した例
Photo_2

特徴的なのは、どちらの場合も、MMIを3錠から開始されています。その後、FT4が正常範囲に入ったらMMIを減量しています。
特に症例1では、1ヵ月後には適正範囲に入っていて、すぐに2錠に減量しています。

一方、私の治療経過を同じようにグラフにすると、以下のようになります。

私の場合
Photo_3

治療開始時の FT4 が上記の症例1,2よりも低いにも関わらす、MMIは6錠と多いところから開始してしまっています。
1ヵ月後には FT4 は適正範囲に入っているのですが減量が遅れてしまい、その後適正範囲を下回ってしまいました。 そのため、TSHは急上昇しています。 自己判断で思い切って減量したことで、ようやくFT4が回復しました。

もし、あのまま服用量を減量しなければ、確実に甲状腺機能低下症に陥っていたと思います。

そして、最初から専門病院で治療を受けていたら、症例1のような治療経過をたどることができたのではないかなと感じています。

メルカゾールを使った治療をする全ての医師には、このような治療方法に関する情報が確実に伝わるようにしていただきたいものです。

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コメント

はじめまして。ツイッターからきました。フォローさせて頂いています。ブログ拝見いたしました。私も6錠から飲んでいました。筋肉がつりやすいぐらいの症状でしたが、心にひっかかっていたことがようやくわかっていくようで。自身では知ることのできないことを知ることが出来ました。ありがとうございますwこれからも拝見させて頂きたいなと思っています。

a_syk さま
コメントありがとうございます。
ツイッターから来られてコメントをいただいたのは初めてだと思います。
ツイッターを見ていただいている方もいるんだと、改めて実感しました。
さて、・・・
6錠を飲まれていて副作用もほとんどなかったようで良かったですね。
私の場合は、服用をして2週間後に全身蕁麻疹が出て、
その後も服用量が多すぎて、機能低下症になりかけたように感じます。
メルカゾールの処方については、医師によって随分差があるようで
どういう先生に担当してもらえるかが、患者にとっての大問題かもしれません。
薬の服用に関しては、以下のような記事も書いてありますので
よろしければご覧ください。

 バセドウ病について(2) 治療初期に飲む薬の量はFT4で決めるようです
 バセドウ病について(5) こんな医師はダメじゃない?
 バセドウ病について(7) 明らかに徐脈の傾向が・・・
 バセドウ病について(9) 『メルカゾール』と『チラーヂン』の併用

また、コメントを書いていただけるとうれしいです。
それでは・・・

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