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バセドウ病について(21) バセドウ病の増悪因子

先日の記事 バセドウ病について(19) 花粉症との関係は・・・ に引用させていただいた網野先生について、バセドウ病と花粉症に関する論文が他にもないか調べていたら、

メディカルオンライン というサイトで、「自己免疫性甲状腺疾患の増悪因子」という論文を発見しました。

このサイトは会員制の有料ダウンロードサイトなのですが、登録をしてダウンロードしました。

以下はその論文の抜粋です。

『診断と治療』 Vol.93-No.7 2005(118) 1128-1133

実地医家,研修医の目線で見た甲状腺疾患の診療
持っておいた方がよい知識

自己免疫性甲状腺疾患の増悪因子

医療法人神甲会 隈病院学術顧問 網野信行 ,内科 窪田純久

[はじめに]
 自己免疫性甲状腺疾患にはバセドウ病と橋本病がある。明らかな臨床症状がなくても血液検査で甲状腺自己抗体が陽性を示す潜在性自己免疫性甲状腺炎は、成人女性の10人に一人の高頻度に存在する。この病態に何らかの増悪因子が加わり臨床的な発病をみるが、最近かなりの増悪因子が明らかにされてきた。・・・

[増悪因子の種類]
 増悪因子を大別すると、生体の生理的または病的変化の影響、環境因子および薬剤に分けることが出来る。(表1)
Table1s 

・・・

[スギ花粉症]
 スギ花粉症に罹患すると生体は局所または全身的なTh2優位の状態になると考えられ、バセドウ病が発症または増悪する。図2にスギ花粉症に罹患した後の抗体価の経時変動を模式的に示した。
Fig2s  

 大阪地区ではスギ花粉症の頻度は一般成人の32.6%に比しバセドウ病では42.9%と有意に高く、無痛性甲状腺炎では13.0%と低い。
 このようにスギ花粉症はバセドウ病の明らかな憎悪因子であり、バセドウ病の治療中でスギ花粉症の症状発症後は抗甲状腺剤の減量はかなり慎重にしなければならない。

[出産]
 出産後発症するバセドウ病も含め、全体(Ⅰ永続性甲状腺中毒症,Ⅱ一過性甲状腺中毒症,Ⅲ破壊性甲状腺中毒症,Ⅳ一過性甲状腺機能低下症,Ⅴ永続性甲状腺機能低下症)をまとめて出産後甲状腺機能異常症と云われている。・・・全産後婦人の4~5%の高頻度にみられる。発症メカニズムは図6に示すように、免疫リバウンドで説明出来る。
Fig6s

・・・出産後早期にTh1優位となり橋本病の増悪がおこり、遅れてTh2優位となりバセドウ病が増悪・発症する。

この論文には「薬剤による増悪」も詳しく書かれているのですが、内容が専門的ですので割愛しました。

網野先生の論文では、以下のようなTh1、Th2による甲状腺疾患の説明図がよく使用されています。
(上記論文より 図1 自己免疫性甲状腺疾患の発生機序)

Fig1s

出産の場合は、影響を受ける方によって、橋本病かバセドウ病のどちらかが増悪するのですが、花粉症の場合はTh2優位となるため、バセドウ病が増悪すると考えられているようです。

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