『ツィゴイネルワイゼン』 鈴木清順監督 1980年公開作品
年末年始の休みも、年賀状を書き終えて、家の掃除なども終わると、とたんにすることが無くなり、ついつい読書とネットという無為な時間を過ごしていて、それでもいいかなと思いながらYahoo!のテレビ欄で深夜映画を見渡していたら、そこに掲載されていたある映画の題名から急に全く関係ない『陽炎座』(かげろうざ)を思い出してしまいました。そうしたら自動的に『 ツィゴイネルワイゼン 』も出てくるのは致し方ないですね。どちらも 鈴木清順 監督の作品です。
するとこの2本が無性に観たくなってしまって、結局、Amazonのお急ぎ便で注文してしまいました。
発注したのは12月31日の午前2時でしたが、なんと元日の昼には到着しました。
この早さには驚きました。世の中にはお正月なのにDVDを梱包して配送してくれる人達が何人もいて、私の「思いつき」を叶えてくれていると思うと申し訳なくも感じてしまいます。
さて、ということで、今日は先ず『ツィゴイネルワイゼン』を観ました。
この映画は 内田百閒 (うちだひゃっけん)という大正時代から昭和初期にかけて活躍した小説家が書いた『サラサーテの盤』が元になっていますが、この小説は短編なのでこれだけでは映画には短すぎるため、この他に『山高帽子』の中のエピソードや、その他、内田百閒の小説の怪奇的なテイストを散りばめた独自の世界となっています。(例えば、映画には主人公が「狐に騙された」という台詞がありますが、これは『短夜』に出てくる題材に重なります。)
主要な登場人物は、陸軍士官学校ドイツ語教授の「青地」とその妻「周子」、元同僚で親友の「中砂」とその妻「園」と後妻「小稲」となっており、限られた人物の間で物語は展開されます。
物語の最初には、青地と中砂が小稲と出会う料理屋のシーンで提示される「骨=白」と「血=赤」の明示があり、この映画の主題となって最後まで根底を流れていきます。
これと対を成すもう一つの柱は、男女の情念と愛欲の哀れであり、総ての登場人物がこの構図の中に絡め取られてしまいます。
映画の中の登場人物の台詞は内田百閒の小説をかなり忠実に踏襲している部分も多いのですが、この映画の主題となっているこれら2つの点は百閒の小説には直截的には表現されておらず、鈴木清順監督が百閒の世界観からイメージして構築したものだと言えると思います。
私が最初にこの映画を観たのは、たぶん学生時代だったと思いますが、中砂が小稲の腕の骨を確かめるように掴むシーンや、周子が腐りかけた水蜜桃を舐めるように食べるシーンはとても衝撃であり、それ以来深く記憶に焼き付いています。
たぶんこの映画は、私の感性の一部を構成する重要な要素として組み込まれてしまっているのではないかと思います。
『ツィゴイネルワイゼン』
監督:鈴木清順
出演:原田芳雄、大谷直子、大楠道代、藤田敏八、麿赤兒
公開:1980年4月10日
配給:シネマ・プラセット
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ツィゴイネルワイゼン デラックス版 [DVD] 販売元:ジェネオン エンタテインメント |
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サラサーテの盤―内田百〓集成〈4〉 (ちくま文庫) 著者:内田 百〓@6BE1@ |
Link - Wikipedia
鈴木清順
ツィゴイネルワイゼン (映画)
陽炎座
内田百間 (正しくは 内田百閒 )
< 2009.1.3 追記 >
『陽炎座』 鈴木清順監督 1981年公開作品 を追加しました
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